事此処に至って東芝がウェスティング・ハウスの減損処理の為に金の生る木である半導体事業部門を売却するという案に対して、大戦直前に重電メーカーであった芝浦製作所と民生品を手がけていた東京電気との合併に因って成った東芝は再び綺麗さっぱりと会社を分割して、債務超過に因っていずれ消滅すべき再芝浦製作所と市場の需要を絶やさない再東京電気にきっぱりと別れるべきではないか?

 将来性の無い重電部門が生き延びる為に将来性の有る弱電部門を身売りして足しにするという態度に著者は大きな不満を抱く。

 官公署や法人向けの営業を主とした迂回生産財を供給する事業と最終消費財を供給する事業を完全に分かち、市場経済が望む事業のみを存続させるのが正しい方途と言えまいか。

 財界総理と謳われた石坂敬三や土光敏夫らが経営に与った東芝は市場経済に応じた似非民間企業として実質中国共産党が統制する擬似国営事業の観を呈し、事実上半国営企業であり続けてきたことが世界で評価される民生品製造部門を傷めつけてきた。

 東芝は半導体事業部門を売却して原子力事業部門を生かすのではなく、原子力事業部門を殺して半導体事業を存続させることこそが21世紀における日本のリーディング・カンパニーを生かす方途であると断言する。