去年末の金融決定会合よりコール・レートの微調整というオーソドックスな貨幣調節に回帰した日銀は第2次安倍内閣発足以降壮大な実験を続けたものの、アベノミクスの第二の矢は完全に折られた。

 ベース・マネーを拡張し続けて社会で形成される予想物価上昇率の向上に期待を懸けた企図は見事に粉砕された。

 ジョン・ケネディーの助言者を務めたアーサー・オーカンの命題とは大戦後のアメリカ経済が失業率の1%増大に対して実質GDP成長率を3%縮ませる負の比例定数を示した線形関数であるというものだったが、ロバート・ソローやミルトン・フリードマンといった往年の米学界をリードした学者らはイギリスの学者が観察した賃金上昇率と失業率とのトレード・オフ関係や物価とGDPとの関係を示す総供給関数を考え併せ、貨幣現象と言える物価と労働市場の改善度=失業率の低下との関係を総供給関数における正の比例定数を賃金上昇率と失業率との関係で示される負の比例定数で割った値を比例定数とした失業率の変化の大きさが実際の物価上昇率と社会で形成された予想物価上昇率との乖離度に依って決まると考えた。

 しかし、日米ともに賃金上昇率と失業率との関係における負の比例定数や物価とGDPとの関係における正の比例定数の絶対値は至極非弾力的な値で、そこに社会で形成される予想物価上昇率が日銀の壮大な目論見に因って持ち上げられようとしても如何ほども実際の物価上昇率との乖離を拡げるものでなく、黒田日銀の金融裁量は完全な失敗を見た。

 んなもんだから、安倍はんは向後マクロ経済のことはひたすら回避して言及しようとしないわね