2008年秋に起きたリーマン・ショック直後、俄かに米通商代表部が割り込んできたTPP交渉は、共和党新政権を生んだトランプ大統領のイニシャティヴで選挙前からの公約通り、交渉参加国間で大筋合意を見せるも、当のアメリカが反古にして空中分解してしまった。

 それも天の配剤の妙と言うべく、TPP交渉大筋合意を破壊した当人のトランプ大統領が米捜査当局への政治的圧力に関する疑惑で弾劾される可能性を日々強くしており、その隙を突くように日本政府の関係閣僚以下米抜きのTPP交渉を復活させている。

 広大な国土と日本の2倍もの莫大な人口を擁し、日欧先進国を3つも併せたような経済規模を示す大国が当初ブルネイ・ニュージーランド・チリ・シンガポールといった経済的小国の発起した通商協約の交渉に割り込んだことでTPP交渉への非難を沸騰させたと言え、アメリカ抜きのTPP交渉は正しく本来の通商協約の理想に向かって前進する可能性を与える。

 米抜きのTPP交渉に日本政府が中心となって尽力することは米大資本の政治的圧力を払拭するとともに中国の習近平主席が熱心に提唱する一帯一路構想と競う通商協約を錬磨することとなり、この米抜きTPP交渉を日本が力強く牽引し続けることを願って已まない。